ケアギバーの皆さまへ
病気の基礎を理解する
副腎皮質機能低下症は、体の調子を整え、病気やけがなどの負担に対応するホルモン「コルチゾール」が十分に作られない病気です。感染症や発熱、けが、手術、脱水などで体に大きな負担がかかると、急に体調が悪化し、副腎クリーゼに至ることがあります。副腎クリーゼは命に関わることがあるため、早めに変化に気づき、必要な対応につなげることが大切です。
普段は問題なく過ごしているように見えても、体に負担がかかったときに必要な量のコルチゾールを十分に増やせないことがあります。「普段は元気に見えるから大丈夫」とは限らないことを知っておきましょう。
身近な人だから気づける変化
副腎皮質機能低下症では、強い疲れやすさ、立ちくらみ、吐き気、食欲低下、塩分を欲しがるなどの症状がみられることがあります。これに加えて、急にぐったりする、会話がいつもと違う、普段と違う不安やいらだちがみられる、急に食欲がなくなる、寒がるなど、本人にとって「いつもと違う変化」が現れることもあります。
こうした変化があれば、本人に体調を確認し、主治医から受けている指示を確認してください。急な変化が強い場合や、意識がぼんやりしている場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
シックデイルールとストレスドーズ
体調不良時には、主治医と相談して決めた方法に従い、内服ステロイドを一時的に増量します。具体的な対応については、シックデイの対応方法をご参照ください。感染症や発熱、けが、手術などの際には、普段より多くのコルチゾールが必要になることがあります。どのような場合に、どのくらい薬を増やすのかを、あらかじめ本人と一緒に確認しておきましょう。
副腎クリーゼが疑われるときの対応
副腎クリーゼは、いつ起きても対応できるように、あらかじめ準備しておくことが大切です。
- 薬を飲める状態なら、主治医の指示に従う:
本人に意識があり、薬を飲める場合は、主治医から指示された量の薬を服用します。対応に迷ったときは、主治医や医療機関に連絡してください。 - 薬を飲めない場合は、すぐに受診する:
嘔吐や下痢で薬を飲めない・吸収できない場合、強い脱力がある場合、意識がぼんやりしている場合などは、内服だけでは対応できないことがあります。ためらわず119番に通報してください。 - 必要な情報をすぐに提示する:
「副腎不全カード」、服薬内容と増量基準、主治医の連絡先、病名を記載した文書などを携帯しておくと、緊急時に役立ちます。救急隊や医療者には、「副腎皮質機能低下症があり、副腎クリーゼの疑いがあります」と伝えてください。
緊急用のヒドロコルチゾン注射薬が処方されている場合は、本人だけでなく、ご家族や身近な方も、主治医や医療スタッフから使用方法の説明を受けておきましょう。注射薬を使用した場合も、必ず救急要請または医療機関への連絡が必要です。
日常的に自己管理をしていても、感染症や体調の変化をきっかけに急激に悪化することがあります。すべてを防ぐことは難しい場合もあるため、「起こさないこと」だけでなく、「起きたときにどう対応するか」をあらかじめ共有しておくことが大切です。
医療現場での“第二の耳”になる
体調が悪いときには、本人が診察内容を整理したり、症状をうまく伝えたりすることが難しくなる場合があります。受診に付き添い、症状の経過や普段との違いを伝えることは、診療の助けになります。事前に質問をまとめ、医師の説明をメモし、必要に応じて確認することで、聞き漏れや誤解を防げます。日頃から症状や服薬状況を記録しておくことも、治療方針を考えるうえで役立ちます。
心のサポート
副腎皮質機能低下症の方は、「いつ体調が崩れるか分からない」という不安を抱えていることがあります。症状が見えにくいときも、つらさを否定せず、本人の話を聞くことが支えになります。また、ケアを担う皆さま自身も、すべてを一人で抱え込まないことが大切です。家族や友人、医療スタッフなど周囲の支援を得ながら、無理のない範囲でサポートを続けてください。