質問
甘草が入った漢方でコートリルを底上げできますか?
「甘草が入った漢方でコートリルを底上げする」という話を見かけました。これは一般的な方法なのでしょうか? メリットだけでなく、注意した方がいいこともあれば知りたいです。
ポストに添えられていた資料のリンク;
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1982/43/3/43_3_439/_pdf
/
質問
患者さんの声
実体験をもとにした個人の意見です
さまざまな考え方のひとつとしてご覧ください
思ったことや気づいたことなど
気軽に共有してください
結論から言うと、甘草が入った漢方でコートリルの作用が強くなったり、長く続いたりする可能性はありますが、「コートリルを底上げする治療」として一般的に推奨されている方法ではありません。
むしろ、副腎皮質機能低下症の専門書では、甘草やグレープフルーツなど、コートリル(ヒドロコルチゾン)の作用に影響を与える可能性がある食品や薬剤には注意するよう記載されています。
参考:
https://adrenal-insufficiency.com/forum/765/
共有いただいたPDFにも記載があるように、甘草に含まれる成分には、コルチゾールを分解する酵素の働きを弱める作用があるので、コートリルの効き方が通常より強くなったり、長く続いたりする可能性があります。
https://adrenal-insufficiency.com/wp-content/uploads/2026/07/20260710.jpg
一時的に体調が良くなったように感じることはあるかもしれませんが、体そのものが回復したわけではなく、甘草との併用でコートリルの作用が強まっているだけの場合もあります。
それって、コートリルを増やしているのと同じことですし、もし半減期が伸びているとしたら、コートリルを単体で飲む時よりも副作用が出やすくなる可能性があります。
回復途中の人にとっては、外から入ったコルチゾール作用が長く続くことでACTHが抑えられ、自分でコルチゾールを作る力の回復を遅らせる可能性もあります。
そして、注意したいのはコートリルへの影響だけではありません。
甘草には偽アルドステロン症という副作用があり、低カリウム血症、高血圧、むくみなどを起こすことがあります。脱力感や筋力低下など、副腎皮質機能低下症の症状と重なるものもあるため、「コルチゾール不足なのか」「甘草の副作用なのか」が分かりにくくなることもあります。
偽アルドステロン症は、甘草を中止してもすぐに改善するとは限りません。しかも一度発症すると、数週間〜数カ月、場合によっては何年も改善しないこともあります。
そういう理由から、副腎皮質機能低下症の専門書では、甘草などコートリルの作用に影響を与える可能性があるものは、安易に併用しないよう注意が記載されています。
この研究は、アジソン病患者を対象に、甘草やグレープフルーツジュースがコートリル(補充療法)の効き方にどのような影響を与えるかを調べた研究です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21896619/
その結果、甘草やグレープフルーツジュースは、組織で利用されるコルチゾールを増やすことが確認されました。
この研究を行ったHusebye先生らは、その後に発表した副腎皮質機能低下症のコンセンサスステートメントで、「甘草とグレープフルーツジュースはヒドロコルチゾンの作用を増強するため避けるべき」と記載しています。この記載は、この2011年の研究を根拠として引用しています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/joim.12162
そして、Hindmarsh教授の副腎皮質機能低下症の専門書でも、甘草は併用しない方がいいと書いています。
つまり、「コルチゾール作用が強くなることが分かったから使おう」ではなく、「補充療法のコントロールが変わってしまうので、治療では避けた方がいい」という考え方にアップデートされているんですね。